SDV Insider - 2026年9月18日
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今週、ハノーファーでIAA Transportationが開幕した。商用車業界はこの場で、乗用車業界が3年前から語ってきたことを明言した。差別化を生む製品はソフトウェアであり、その下層の基盤を単独で構築するにはコストがかかりすぎるということだ。前号のトップ記事では、HondaとNissanが基幹ECUと車両OSの共有で合意したことを取り上げた。今週は、3大陸で4ブランドの車両を出荷するグループから、同じ論理がトラックにも広がった。

IAA Transportation 2026のプレスデー開幕の様子。(写真提供:IAA)
その一方で、規制の時計も進み続けた。サイバーレジリエンス法の報告義務が適用されてから1週間後の9月12日、EUデータ法の設計段階からのデータアクセス要件が適用された。つまり、欧州市場に投入されるコネクテッド車両は今や、生成するデータを車外へ取り出せるよう設計されていなければならない。8日間で欧州の2つの厳格な期限が到来したが、どちらも書類手続きではなく、アーキテクチャに関する判断を問うものだ。
相次ぐ発表の底には、誰が何を構築するのかという、より静かなテーマがある。Hyundaiは内製の運転支援ソフトウェアを2029年に延期し、その空白を埋めるためにNVIDIAを採用した。Pony.aiは2つ目のコンピューティングプラットフォームを構築しないことで、ハードウェアコストを70%削減した。Tratonは自社で所有しないLinux基盤を選んだ。内製か外部調達かの境界線が動いており、その方向はどこでも同じだ。
今週の注目点:プラットフォーム層の集約は製品層よりも速く進んでいる。そして前進しているのは、技術スタックのどの部分で差別化しないのかを決めた企業だ。
🚀 トップ記事
Traton、Red Hatとの協業を通じてTRATON ONE OSを技術パートナーに開放
Traton Groupは、Scania、MAN、International、Volkswagen Truck & Bus向けに構築中のソフトウェアプラットフォームTRATON ONE OSに、Red Hat In-Vehicle Operating Systemを組み込む。掲げる目的は調達ではなく、エコシステムの構築だ。標準化されたインターフェースを備える安全認証済みのLinux基盤により、外部の技術パートナーは4つではなく1つのプラットフォームに対して統合を行え、ソフトウェア更新もブランドごとではなくブランド横断で配信できるようになる。この協業は非独占的であると明示されている。TratonでEEプラットフォームを統括するStefan Teuchert氏は、Linuxを「オープンで拡張可能な基盤」と位置づけた。パートナーへの訴求点は、トラックのライフサイクル全体を通じて機能を追加できるコンテナベースの仕組みだ。TRATON ONE OSを基盤とするECUハードウェアは、2028年からトラックへの搭載が始まる予定。同プラットフォーム自体は、2025年3月にApplied Intuitionとともに初めて発表された。
興味深いのはRed Hatのロゴではない。トラックグループが、自社のOSは競争の場ではないと宣言したことだ。Tratonは汎用的なLinux基盤への標準化を選び、その上にサードパーティーを招き入れようとしている。これは、OEMが独自スタックを構築し、ライセンスでその利用を認める姿勢とは異なる。歴史的に4ブランドが別々の電子システムを運用してきたグループにとって、共通OSは、予知保全、無線更新、将来の自動運転を、4つの並行プログラムではなくグループ共通の機能として実現する唯一の現実的な方法でもある。ここで商用車には乗用車にない構造的な優位性がある。フリート顧客は稼働時間の価値を実際に金額で評価できるため、ダウンタイムを減らすソフトウェアには、その対価を支払う買い手がいる。

編集部の見解: トラック4ブランドでOSを共有することは、コネクティビティ層に製品やサービスを供給するすべての企業にとって調達上の転換点であり、サプライヤーはそのように捉えるべきだ。より難しいのは、Tratonがまだ公に答えていない問い、すなわち共通OSがソフトウェアのライフサイクルの共通化も意味するのか、という点である。ScaniaとInternationalがOSを共有しても、更新体制が2つ、診断モデルが2つ、規制当局向けの証拠一式が2つあれば、プラットフォームが解消しようとしている分断をそのまま再現してしまう。ハードウェア導入が2028年ということは、解決までに残された時間は2年だ。注目すべき点は3つある。第一に、パートナープログラムがインターフェース仕様を公開するのか、それとも二者間の統合作業にとどまるのか。パートナーごとにTratonのエンジニアを必要とする仕組みは、エコシステムではない。第二に、それぞれ異なる型式認証の履歴を持つ4ブランドを横断して、R155とR156の証拠の連鎖をプラットフォームがどう扱うのか。第三に、トラック業界の他社が追随するかどうかだ。Coreturaではすでに、VolvoとDaimlerが合弁事業というアプローチで同じ課題に取り組んでいる。この規模の市場で共通基盤が2つなら収れんだが、4つなら、従来の分断に新しい名前を付けただけになる。
⚙️ 業界動向
EUデータ法の設計段階からのデータアクセス義務、9月12日に適用開始
9月12日以降、EU市場に投入されるコネクテッド製品は、生成するデータにユーザーが標準でアクセスできるよう設計されていなければならない。データは構造化され、一般的に使用される機械可読形式で提供され、該当する場合は継続的かつリアルタイムに提供される必要がある。車両では、生の信号だけでなく、メーカーがすでに利用している前処理済みの値も対象となる。基準は同等性だ。ユーザーまたはユーザーが指定する第三者がアクセスできるデータは、正確性、完全性、信頼性において、メーカーがアクセスできるものと同等でなければならない。先週適用されたサイバーレジリエンス法の義務と異なり、これはプロセスを整備するだけでは満たせない。設計時点で製品に課される技術要件であり、車両の出荷より何年も前に行う、データアーキテクチャ、車載ログ記録、APIの公開範囲に関する判断となる。
Pony.ai、ロボタクシーと同じドメインコントローラーで動作するGen-4ロボトラックを発表

Pony.aiは9月14日、IAA TransportationでGAC Commercial VehicleとともにGen-4 T9ロボトラックを公開した。技術面で最大のポイントは再利用だ。このトラックには、すでに1,400台超が稼働する同社のGen-7ロボタクシーとまったく同じドメインコントローラーが搭載されている。Pony.aiによると、これにより前世代のトラックに比べてハードウェアコストを約70%削減した。車両はLiDAR 9基、ミリ波レーダー3基、カメラ13基からなる計25基のセンサーを搭載し、操舵、制動、通信、電源、演算、センシングに冗長性を持たせている。長距離輸送回廊や専用物流ルート向けに年内の量産開始を予定し、2~3年で大型トラック500~1,000台、2年以内の欧州・中東進出を目標に掲げる。2026年上期のロボトラック売上高は2,350万ドルで、前年同期比36%増だった。
Hyundai、内製運転支援ソフトウェアを2029年に延期、それまでNVIDIAを活用
Hyundaiは独自の運転支援ソフトウェアの導入を2年延期して2029年とし、それまでの期間はNVIDIAに頼る。Pleosブランドを通じたソフトウェアの自社保有に、他の領域ではひときわ強く取り組んできたグループが、認識・計画スタックを社内で構築する難しさを率直に認めた形だ。2年という遅れそのものより重要なのは、それが開発の順序について示していることだ。OEMは内製OS、アプリフレームワーク、OTAパイプラインを予定どおり立ち上げても、自動運転スタックはまったく別の時間軸で動いていると気づくことがある。他社にとっても、「自社で構築する」という言葉は単一の判断ではなく、開発案件全体に関する方針であり、各要素が同時にそろうわけではないことを改めて示している。
Tesla、手動運転中にFSDを作動させるAutomatic Collision Evasionの配信を開始
Teslaは9月12日、Automatic Collision Evasionという機能を搭載したFSD v14.3.9の配信を開始した。この機能は、ドライバーが手動運転している際に、2つのケースでFull Self-Driving (Supervised)を作動させる。正面衝突が差し迫り、ブレーキだけでは回避できない可能性がある場合と、ドライバーの不注意または意図しない機能解除をシステムが検知した場合だ。配信は早期アクセス対象者から段階的に行われ、Hardware 4搭載車が対象となる。同じファームウェア上で、Hardware 3搭載車にはFSD v14.2 Liteのビルドが提供される。アーキテクチャ上の要点は、Teslaをめぐる喧騒とは切り離して考える価値がある。これは、自動運転スタックを、ドライバーの要求なしに作動するアクティブセーフティの介入に転用するものだ。規制上はドライバーが選択する機能とは異なる対象であり、欧州で生じる型式認証や責任の問題も、FSD Supervisedが現在評価を受けている論点とは異なる。
BMW、EU全域の顧客車両からイベントベースのカメラデータ収集を開始

BMWは9月中旬から、EU全加盟国の顧客車両を対象に、特定のイベントを契機とする画像・センサーデータの収集を開始している。対象はまずiX3、i3、X5、7 Seriesで、必要なセンサーを搭載する後続モデルにも広げる。収集は同意に基づき、1イベント当たり最大120秒に制限される。緊急ブレーキ、手動による強いブレーキ操作、回避操作などを契機とし、データは運転支援や部分自動運転機能の機械学習に使われ、無線更新を通じて顧客に還元される。注目すべきはプライバシーを守る技術設計だ。車両識別番号は送信直後に削除され、従業員が映像を見る前に、顔やナンバープレートがぼかされる。同じ週に適用されたデータ法の義務と照らし合わせると、欧州の車両データ政策の方向性を示す好例となる。一方ではメーカーが同意の範囲内で収集するパイプラインを構築し、他方では法律がユーザーのアクセス権を保障する。どちらも、構造化データを車外に移すという同じ基盤能力を必要としている。
💼 企業動向と提携
Motive、General Catalystから13億ドル超を調達
MotiveはGeneral Catalystから13億ドル超の成長資金を調達した。同社の年間経常収益は6億ドルを超え、前年比で約30%成長しており、今回の調達に伴ってIPO申請を取り下げた。資金は、現場業務全般の安全監視、コンピュータービジョン、予知保全に向けたAIに投じられる。フリート向けソフトウェア市場にとって、これは製品よりも規模に関するシグナルだ。テレマティクスは、自前のAIインフラに資金を投じられる規模を持つ少数のプラットフォームへと集約しつつある。それが、すでに製造した車両を基盤にフリート向けコネクテッドサービスを販売しようとするすべてのOEMにとって、競争の基準となる。
📅 今後のイベント
IAA Transportation、ハノーファー、9月20日まで
展示会は日曜日まで開催され、150件超の世界初公開が発表されている。カンファレンスではパワートレイン関連のニュースとともに、ソフトウェア定義車両、自動運転、デジタルサービスが議題となる。商用車のソフトウェア層を追っているなら、週後半に注目すべきは、Tier 1各社が更新・診断インフラについてどのような取り組みを約束するか、そしてTratonの発表にCoretura側が反応するかどうかだ。
EU自動車技術委員会の採決、10月6日
委員会は、オランダが発行したTesla FSD Supervisedの認可を全27加盟国に拡大する案を採決する。可決には、EU人口の65%を占める15カ国の支持が必要だ。前号でも取り上げたが、メーカーが作成する運用データに基づいて市場アクセスを主張する際のひな型が結果によって決まるため、今秋の欧州ソフトウェア関連日程で最も重要な日であることに変わりはない。
👋 今週のまとめ
今週の注目点:
- TratonはRed Hat In-Vehicle Operating SystemをTRATON ONE OSに組み込み、Scania、MAN、International、Volkswagen Truck & Busを横断するプラットフォームを外部パートナーに開放する。ECUハードウェアは2028年からトラックに搭載される予定だ。
- EUデータ法の設計段階からのデータアクセス義務が9月12日に適用され、車両データの取り出しは、後付けのコンプライアンス手続きではなく、設計時に組み込む技術要件となった。
- Pony.aiはGen-7ロボタクシーのドメインコントローラーをClass 8トラックで使用することで、ロボトラックのハードウェアコストを約70%削減した。2~3年で500~1,000台を目指す。
- Hyundaiは内製運転支援ソフトウェアの2年延期を認め、導入を2029年に変更し、それまでの空白をNVIDIAで埋める。OSの自社保有と自動運転スタックの自社保有は、異なる時間軸で進む別々のプログラムであることを示している。
- Teslaは、衝突を回避するために手動運転中にFSDを作動させる機能の配信を開始した。自動運転スタックを、ドライバーの要求を伴わないアクティブセーフティの介入へと転用するものだ。
今後も押さえておきたい共通点:上記の企業はいずれも、技術スタックの異なる場所で同じ判断を下した。自社で構築するものに資源を振り向けられるよう、何を構築しないかを決めたのだ。
- SDV Insider編集部 🚗💨
