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週刊ディスパッチ:第35週

WaymoがEU初進出の地にミュンヘンを選定、Porscheがコンサルティング部門をTCSに売却、中国政府が検証不足の車載ソフトウェアの市場参入阻止へ、そして車両自身の更新経路を悪用する初のマルウェア。

2026年8月28日 · 10 分で読めます · 23 回閲覧 · SDV Insider
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週刊ディスパッチ:第35週

SDV Insider - 2026年8月28日

今週もSDV Insiderをお届けします。

今週は多くの出来事がありましたが、いずれも三つの方向から一つの物語を描いています。ロボタクシー競争は、自動車を発明した企業群の本拠地ドイツに到達しました。ドイツのスポーツカーメーカーは、事業全体でAIを実用展開する仕事を、完全子会社ではなく外部パートナーに委ねるべきだと判断しました。そして世界最大の車載ソフトウェア市場は、検証不足のソフトウェアを品質上の些末な問題ではなく、市場参入の可否に関わる問題として扱う規則づくりに着手しました。

共通するのは説明責任です。Waymoは3億5,000万マイルの自動運転実績という証拠を携えてミュンヘンに進出します。ドイツの規制当局がそれを求めるからです。中国政府は、完全自動運転車が交差点で取る行動の責任を、ドライバーではなく自動車メーカーが負う制度を提案しています。そして、初めて確認されたヘッドユニット向けマルウェア攻撃は、更新パイプラインに完全性を確保する仕組みがないまま出荷されていたからこそ成立しました。車載ソフトウェアをめぐる議論は、同じ問いに収束し続けています。ソフトウェアが動作したとき、何が起きたかを誰が証明でき、誰が責任を負うのでしょうか。

今週の重要な兆候:ソフトウェア定義車両の競争は、わずか2週間で本格的に世界規模へと広がりました。新たな参入企業、規則、攻撃手法のすべてが、同じ能力に対する要求水準を引き上げています。それは、自社の車載ソフトウェアが何をしたかを証明し、次に何をするかを制御する能力です。


🚀 トップニュース

Waymo、EU初の市場にミュンヘンを選定、2027年のサービス開始を目標に

Waymoは8月25日、今後数週間以内にミュンヘンの公道で車両の走行を開始すると発表しました。当初は手動運転で高精度地図を作成し、現地の環境に対するWaymo Driverの適合性を検証します。商用配車サービスの開始目標は2027年末です。ミュンヘンはロンドン、東京に続くWaymoの海外3都市目となり、ドイツは同社初のEU進出国となります。同社はドイツ子会社を登記済みで、現地の車両運用に投資するとしています。また、バイエルン州や市の当局者と連携し、連邦自動車庁で認可手続きを進めています。

注目すべきは、進出先の選択です。ドイツは、公道でのレベル4無人運転に特化した法的枠組みを設けたEU初の国であり、その枠組みはいま、狙いどおりに実運用を呼び込んでいます。Waymoは必要なKBAの許可をまだ取得していませんが、同庁の申請待ちの列は混み合ってきています。MobileyeとVolkswagenはすでにドイツのAV試験許可を保有し、Momentaは7月下旬にドイツ全域でのレベル4試験承認を取得しました。Uberは昨年9月に発表した提携に基づき、今年中にMomentaの技術を搭載したロボタクシーをミュンヘンの公道に投入する計画です。BMWの本拠地であり、AudiやMercedes-Benzの地盤からも車ですぐのミュンヘンで、米国、中国、ドイツの自動運転技術スタックが実地で比較されることになります。

編集部の見解:Waymo対ドイツのOEMという構図には慎重であるべきです。今後の競争で重要なのは、そこではありません。重要なのは、レベル4の車両群が、現存するコネクテッドカー運用の中で最も厳しい要件を課されるという点です。世界で最も厳格な型式認証文化を持つ法域で、すべての車両について地図を整備し、監視し、遠隔診断し、検証済みのスケジュールに従って更新し、規制当局が受け入れる証跡を提示できなければなりません。これは自動運転技術スタックの問題ではなく、車載ソフトウェア運用の問題です。R155、R156、EUのソフトウェア規制体系が厳格化するなか、程度の差こそあれ、すべてのOEMが直面するのと同じ問題です。KBAがWaymoに何の証明を求めるのかに注目してください。ドイツの無人運転に設定される証拠の要求水準は、やがて同国で運用されるすべてのコネクテッド車両群への期待にも波及します。機能だけでなく、証拠を収集するための仕組みも整備してきた企業には、なじみのある水準でしょう。それ以外の企業には、高くつくはずです。


⚙️ 業界動向

中国政府、試験不足の車載ソフトウェアの市場参入阻止へ

MIITの辛国斌副部長は水曜日、中国が革新的な車両設計に対する市場参入審査と試験・検証要件を厳格化し、十分な検証を経ていない製品の市場参入を禁止すると述べました。適切な試験前に先進的な設計が車両に導入されていることや、自動運転の安全事故に世間の関心が集まっていることを理由に挙げています。また、同省が2026年から2030年を対象とするインテリジェント・コネクテッドNEV産業の第15次5カ年計画を起草したことも明らかにしました。製品品質、産業ガバナンス、国際協力を網羅し、市場参入、公道試験、車両・道路・クラウド統合の試行を継続する内容です。車載ソフトウェアを最も速く市場投入してきた市場が、いま、その投入条件を制度化しつつあります。

中国、完全自動運転モードでの違反に自動車メーカーが責任を負う制度を提案

今週公表された規定案は、完全自動運転モードで走行中に生じた交通違反への対応責任を、自動車メーカーに負わせるものです。これは、2027年7月1日に施行されるL3・L4の強制安全規格GB 44721-2026に重なる動きです。同規格は、自動運転システムに、十分な運転能力を持ち注意を払っているドライバーと同等以上の安全性を求め、L3システムにはドライバーが実際に運転を引き継げる状態かどうかの監視を義務づけています。中国は2025年12月に初のL3市場参入承認を出しました。ソフトウェアをたどって開発・供給側に法的責任が及ぶことは、どのソフトウェアバージョンが運転していたのかを、証拠に基づいて正確に把握するようOEMに促す、最も強力な動機となります。

初めて確認されたヘッドユニット向けマルウェア、車両自身の更新経路を悪用

Kasperskyの研究者は、自動車のヘッドユニット専用に構築された感染経路を持つ初のマルウェア攻撃を報告しました。攻撃者が悪用したのは、3,000万人以上の車両所有者に利用されているとする中国のサプライヤーDoFunのファームウェアを搭載した、Androidベースのヘッドユニット内の正規アップデーターTWCoreです。メッセージブローカーがアップデーターに3段階のダウンローダーのインストールを指示し、インフォテインメントシステムを広告詐欺とプロキシボットネットのノードに変えていました。この攻撃は、高い確度でBADBOXボットネットと関係するグループによるものとされています。DoFunは情報開示後に問題を修正したと説明しており、マルウェアがCANや安全上重要なシステムに到達した形跡はありません。それでも、教訓は厳しいものです。更新パイプライン自体が攻撃対象領域であり、署名、許可リスト、完全性検証を欠くアップデーターは、悪用者を待つ配信ネットワークにほかなりません。

誰も答えを出せていない問い:ソフトウェア定義車両は何年使えるのか

CNBCは、SDVへの移行につきまとう未解決のライフサイクル問題に焦点を当てました。独自のソフトウェアプラットフォームを基盤とする車両は、OEMのサポート期間を終えるとどうなるのでしょうか。その整備には、独立系アフターマーケットの大半が持たない専門ツール、技能、車両データへのアクセスが必要です。中核機能を支えるプラットフォームが、メーカーにとってすでに過去のものとなっているかもしれない15年落ちの車両を、どう維持するか。確立されたモデルはまだありません。継続的な改善を約束して車両を販売する業界にとって、ライフサイクル終盤の対応は最も整備が遅れた領域であり、規制介入を招きかねない状況です。


💼 企業動向・提携

Porsche、MHPをTCSに売却し、5年間のAI提携を締結

PorscheとTata Consultancy Servicesは8月24日、5年間の戦略的提携を発表しました。TCSがPorsche専用のAI Mobility Centre of Excellenceを設立し、製造、エンジニアリング、オペレーション、顧客体験全体へのAI導入を目指します。この契約の一環として、TCSはルートヴィヒスブルクに本拠を置くPorscheの経営・ITコンサルティング子会社MHPの株式を100%取得します。MHPの従業員数は約4,500人、報道による企業価値は約3億2,000万ユーロです。規制当局の承認を前提に、MHPはブランドを維持し、Tataグループ内で独立して事業を継続します。Porscheはこの売却を、Sportwagenschmiede 35戦略に基づく中核事業への集中と位置づけています。別の見方もできます。ドイツの高級車OEMが、AIの大規模な実用展開はグループ内で構築するのではなく、グローバルなサービス企業から調達すべきものだと判断したのです。同じソフトウェアコストの課題を抱える欧州の他のOEMも、この仕組みを詳しく検討するでしょう。

TCSのCEO兼MD、K. Krithivasan氏と、Porsche AGのCEO、Michael Leiters博士

SchaefflerとCATL、欧州OEM向けバッテリー管理システムで提携

SchaefflerとCATLは8月20日、欧州OEMの要件に合わせたバッテリー管理システムと、高電圧電子機器および電気機械システムを単一ユニットに集約するX-in-1 Integrated PowerBoxソリューションを共同開発する契約を締結しました。この協業は、すでに受注済みの顧客プロジェクトを基盤としていますが、両社とも顧客名は公表していません。SchaefflerはBMSのハードウェアとソフトウェア、システム統合、機能安全、欧州での量産を担い、CATLはセル技術、バッテリーシステム設計、大規模量産化の知見を提供します。CATLはまた、バッテリー管理におけるクラウドコンピューティングとAIを、両社が検討する分野として挙げています。BMSはEVの中でも特にソフトウェア集約度が高く、安全性との関わりが深いECUの一つです。この提携は、中国のセル大手のアルゴリズムをドイツのTier 1の機能安全の枠組みに組み込み、欧州の車両開発プログラムを明確に狙うものです。サプライチェーンの現地化とソフトウェアの動向は、一つの話になりつつあります。


📊 市場・レポート

欧州の新車、4台に1台がバッテリー電気自動車に

Reutersが報じたE-Mobility Europe、New AutoMotive、Fier Automotiveのデータによると、欧州主要16市場の7月のBEV登録台数は前年同月比13.6%増の22万4,266台となり、新車登録に占める比率は25.7%に達しました。今年の欧州全体のBEV登録台数は約150万台で、2025年比で約30%増加しています。フランスは4万4,378台でシェア35%、ドイツは7万8,609台で29.3%に達し、デンマークが80.1%で首位に立っています。一方、イタリアは購入支援策の終了後、10.1%から5.9%に低下しました。本誌の読者にとって、この数字の背後にある重要な数字は、稼働車両の累積台数です。これらの車両は実質的にすべて、接続・更新可能なソフトウェアプラットフォームと、保証コストの採算がソフトウェアに左右されるバッテリーを搭載して出荷されます。欧州では、OEMのソフトウェア部門が今後15年にわたり監視、更新、サポートしなければならない車両が、年間100万台以上増えているのです。販売を後押しした購入支援制度が存続するかどうかは関係ありません。


👋 今週のまとめ

今週の重要な兆候:

  • Waymoは2027年末までにミュンヘンで商用ロボタクシーサービスを開始する方針を打ち出しました。ドイツは同社初のEU市場となり、米国、中国、ドイツの自動運転技術スタックが同じ公道に並びます。

  • 中国政府は、検証が不十分な車載ソフトウェアの市場参入を阻止する方向に動き、完全自動運転モードでの違反について、ドライバーではなく自動車メーカーが責任を負う制度を提案しました。

  • 研究者は、車両自身の更新経路で配信される、自動車のヘッドユニット専用に作られた初のマルウェア攻撃を報告しました。更新パイプラインの完全性が安全インフラであることを示す、これまでで最も強い根拠です。

  • PorscheはAIの実用展開をTCSに委ね、その過程でMHPを売却しました。ソフトウェアコストの圧力にさらされる欧州の他のOEMも、この仕組みを検討するでしょう。

  • SchaefflerとCATLは、欧州OEMの車両開発プログラム向けに、中国のバッテリーアルゴリズムとドイツの機能安全エンジニアリングを組み合わせます。一方、欧州の新車の4台に1台は、コネクテッド機能を備えたバッテリー電気自動車というソフトウェアプラットフォームになっています。

今後の注目点は二つあります。HondaとNissanは、Nissanの技術を基盤とする共通車載OSについて、8月末までの正式契約を目指していました。執筆時点ではまだ締結されておらず、月曜日には月末を迎えます。そして9月11日には、EUサイバーレジリエンス法のインシデント報告義務が適用されます。コネクテッドカーメーカーが更新パイプラインだけでなく、報告パイプラインも構築してきたかどうかが、初めて厳しく試されます。

- SDV Insider編集部 🚗💨

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